鎌倉(逍遥 そぞろに)
天気は快晴。
その日は、爽やかな5月とは似つかない暑い日。
江ノ電にふらりと乗り、空いている席に座る。
窓の外には湘南の海
車窓には流れる風景が
見えては家並みに消されていった。
各駅停車の江ノ電。
退屈をそれぞれの駅が紛らわしてくれるのも楽しみだ。
鎌倉に近づくころ、極楽寺の駅で降りた。
私にはこの駅の名前は不思議な響きがあった。
赤いポストのある、なっかしい風景。
江ノ電の好きな駅のひとつでもある。
この日、面白いものと言うよりもタイムスリップの入り口に迷い込んだ。
見慣れた道の脇に階段が上につづいていた。
そこはレトロ秘密基地と看板があった。
奥から声がした
そこには主が快く「くどうぞ」
と声をかけてくれた。
見学をさせてくれたのだ。
昭和の雰囲気が楽しめる空間。
忘れられた「時」 に戻っていく感じだ。
「今度いらっしゃるときは、お弁当をもって一日こころゆくまで。」
「どうぞ」
と話してくれた。